連載小説『激闘!宇宙駆逐艦』最終回が『月刊群雛 (GunSu) 2014年11月号』に掲載! ── 米田淳一さんへのインタビュー

月刊群雛 2014年11月号表紙

『月刊群雛 (GunSu) 2014年11月号』には、米田淳一さんの新作連載小説『激闘!宇宙駆逐艦』最終回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? インタビューをご覧ください。

── まず簡単に自己紹介をお願いします。

YONEDENこと米田淳一(よねた・じゅんいち)です。『月刊群雛』ではいつもお世話になっております。
SF小説『プリンセス・プラスティック』シリーズで商業デビューしましたが、自ら力量不足を感じ商業ベースを離れ、シリーズ(全十四巻)を完結させパブーで発表中。他にも長編短編いろいろとパブーで発表しています。KindleストアやBCCKSでもがんばっていこうと思いつつ、現在事務屋さんも某所でやっております。でも未だに日本推理作家協会にはいますし、また、鉄道模型なんかを作るモデラーなこともしてます。
ちなみに『プリンセス・プラスティック』がどんなSFかというと、女性型女性サイズの戦艦シファとミスフィが要人警護の旅をしたり、高機動戦艦として空や宇宙をびゅんびゅん飛び回る、1997年に発表した話です。というわけで艦船好き女の子好きで、当然『艦これ』好きです。でも戦艦シファは、自分が作ったのに、もっと好きです。
でも、その戦艦シファがなんと、海賊の頭領に乗っ取られ、宇宙を飛ぶ最凶最悪の殺戮兵器となって人類を滅ぼしてしまうという話を私が書くとは……。そんな自分の鬼畜さにびっくりしています。

── この作品の内容を簡単に紹介して下さい。

じつはこれ、『プリンセス・プラスティック』のセルフパブリッシング版最終十四話の話を別の視点から見ていることになります。
『プリンセス・プラスティック』最終十四話の構成は、普段どおり主に戦艦シファと、その恋人である内閣調査庁の鳴門調査官の視点からその出来事を見ているのですが、この話、『激闘!宇宙駆逐艦』は、その乗っ取られたシファの暴走で苛烈な『虐殺』にあった米宇宙艦隊(第十二艦隊)の、平凡な宇宙駆逐艦〈ミッチャー〉の兵装長兼副長の視点から、その艦長とともにその状況を見る話で、今回が最終回になります。
もともと操作権限を奪われぬように認証システムとして心を持ったはずのシファがなぜ乗っ取られたのか。
そしてその大虐殺の果てに、太陽系の人類はシファに滅ぼされるしかないのか。
その結びが、今回になります。

── この作品を書いたきっかけを教えて下さい。

きっかけは『なつかしい戦記』をやりたいというものでしたが、徐々に連載の中でその上に『やってこなかったこと』、私の『本当にやりたいこと』をやりたいなと思うようになり、結果として最後は『一番やりたいこと』になっていきました。

── この作品はどんな人に読んで欲しいですか?

今回で最終回です。ここまで三話お読みの方にしっかり最後まで楽しんでいただきたいのと、あとチラ見でもいいから「ムムッ!」と読んで興味を持ってもらえた方にも広く読んでもらえたらと思ってます。
本来私のスタンスは広く読んでもらうよりも、私の作品を面白がってくれる方に深く読んでもらうことを重視していたのですが、本当にがんばると『広く深く』に必然的に向かうんですよね。
私もまだまだその域に達しないのですが、いかに下手であろうとも、目指さないものにはたどり着けるわけがないのです。

── この作品の執筆にはどれくらい時間がかかりましたか?

原稿は連載開始時点ですでに編集さんたちにお渡ししているのですが、修正をそのあと加え、そして第三回であった前回のインタビューで超展開になるかもと、書きましたが、今になって『どこが超展開?』な気もややします。とはいえ、結果的にはその超展開をほの見える感じで全力で詰め込んだところをご覧いただければ、すごく嬉しいです。
この『月刊群雛』七月号への一章掲載(六月)のときには最後までできていたのですが、最終回にあたり、ここまでの時間四カ月以上を有効に使ってじっくり書き込んでいます。
途中の編集作業で編集さんたちに学ぶことも多かったです。深く感謝してます。

── この作品を書くにあたって影響を受けた作家や作品を教えて下さい。

前回から引き続いて『激闘!駆逐艦隊』が一番ですが、書き始めたらきりがないほどいろんな戦記モノなどの影響をバンバン受けてます。トム・クランシーから影響受けたのは当然ですが、あと滝沢聖峰(たきざわ・せいほう)さんなんかも。トム・クランシーは小学校のバザーの古本市で出会って以来。滝沢聖峰さんの『キ-108改 帰還セズ』の掲載されたモデルグラフィックス誌に出会ったのは高校時代でした。田中芳樹(たなか・よしき)さんの影響はそのころの『ドラゴンマガジン』創刊号辺りから。あのころ私のいた高校ではそういった作品が出ると次の日にはみんなでその話ばっかりしてました。時代よのう……。
その他の、さらに他の分野、小説以外のものにも全部恩返しするつもりで頑張りました。
SFってのは、本来そういう自由でクロスジャンルなものだと思っています。それゆえにとても難しく、だからこそ読んで独特な楽しさのあるものだと思うのです。

── 注目している作家がいたら教えてください。

伊藤計劃(いとう・けいかく)さんに注目していたのですが……なんで死んじゃったんだよう、本当に。
私自身、SFムラからちょっと離れて、さらに現代SFにも疎くもなっていたので、ちょっと前、彼の作品に触れて「おおっ」っと思ったのですが(ヒドい)、「ええっ! 二〇〇九年三月に病没!」と愕然としてしまいました。疎いにもホドがあるのですが、私とほぼ同世代だったのに……何で? と思うのですが、これがこの世の不条理ですよね。
基本、世の中は良い人から先に亡くなっていきます。私なんぞは下手くそだし、眼高手低で不遜だから生きてるんだと思います。血圧も高くほかにも持病いろいろあっても、私は結果長生きしちゃうんだろうな、と寂しく思います。

── 今後の活動予定を教えてください。

前回に続き、『プリンセス・プラスティック』の早川版五巻、講談社版のリメイク一巻を含んだ十四巻シリーズを電子書籍としたうえで、内容を強化した「HD版」として出し直すのが、まず現状での目標です。
この場合の『HD』とはなんぞや? というツッコミを頂きましたが、まあ内容的にもCGの解像度的にもHDにしてます(謎)。
『今思えばここ本当はもっと面白いシーンだよね』というのに今更気付いてやり直したり、CGも少しずずつモデリングの段階からやり直したり。
今のところ早川で出した五冊目『ハリアー・バトルフリート』に続き、オンデマンドで発表した六冊目『デカップルドディフェンス』、ようやく大幅増補改訂を実施してHD版として再発表しました。ぜひよろしくです。

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